おことわり

くま(仮)の読書感想文です。 日付の一部が「00」となっているのは、「だいたいこのころに書いた文章」を意味します。たとえば「2008-01-00」は「2008年1月ごろに書いた文章」を意味し、「2007-00-00」は「2007年ごろに書いた文章」を意味します。

『遠き旅路』(能島龍三/新日本出版社)

日中戦争モノって年に一冊は何かいい本が出る気がしますね。大きな戦争だったってことですかね(適当)。 日中戦争で戦った一人の日軍騎兵(後に自動車化歩兵)の遠い旅路を描く小説。途中まで「ああすごくていねいに書いてあるな」「香本さんちょっと便利す…

ポリティカル・フィクション

(正編)2004/1 私はあるとき古代中国を扱う時代小説を読んでいたはずが、気がつくと合衆国のイラク占領に関するポリティカル・フィクションを読んでいました。作中では合衆国大統領とその側近が重い責任を負った人々に特有の深刻な会話を交していました。 …

時事ネタ(2008年)

おわかりいただけると思いますが本稿の主題は「オリンピックは社会に何をもたらすか」です。すくなくとも主観的には。 ●ある料理屋 2008/08/07 先日いきつけの中華料理屋にいってみたところ常に増して空気がムサ苦しく、どうしたのかと思っていると別の客が…

琅琊榜(TVドラマ)

ネタバレ度:1/4(原則ネタバレなし) 中国古装ドラマ「琅琊榜」を見ました。たいそう面白かったです。 設定とあらすじ: 舞台は複数国家のならびたつ架空中国。テクノロジーは宋代っぽく社会構造は南北朝っぽい(つまり仏寺が多く科挙はどうもないっぽくて…

項羽と劉邦 King's War/楚漢伝奇(TVドラマ)

ネタバレ度:3/4(やや高) 項羽と劉邦の戦いを描く大長編TVドラマ。 見ました。面白かったです。 私見では中ドラって韓ドラに比べて得てしておおざっぱだったり粗雑だったりするんですが(じゃあなぜおまえは韓ドラを見ずに中ドラを見てるんだって、それは…

『Only the Ball was White』(R.Peterson, New York: Oxford Univ. Press, 1970/1992)

合衆国の黒人プロ野球に関する古典傑作。という情報だけある状態で読みました。 きっと自由と平等とフェアネスを求める人々の偉大な戦いと勝利をユーモラスに描きフレッド・アステアがタップを踏み最後はハッピーエンドになるような本なんだろう、ト何となく…

たまにはハンドルネームにふさわしい記事を書いてみる

フランク・チャンス「はっはは はっはは ははは 勝たねばならぬ試合でカブスが負けた話を聞いた者があるか」 シカゴ市民「ここにいるぞ」(血涙)

倚天屠龍記(TVドラマ)

ネタバレ度:4/4(ネタバレ満載) 武侠小説界の巨匠・金庸の原作にもとづく、元末明初期の武林を舞台に優柔不断で影の薄い主人公・張無忌が数奇な運命を辿りギャルにモテモテになる五角関係武侠ドラマ。『シャチョウ英雄伝』『シンチョウ侠侶』の続編にあた…

書剣恩仇録(TVドラマ)

ネタバレ度:3/4(やや高) 武侠小説界の巨匠・金庸の長編第一作をもとにした武侠ドラマ。反清復明を旗印に清朝と戦う秘密結社・紅花会。そして清朝皇帝・乾隆帝の出生の秘密とは? 以下記事中ネタバレあり最終盤ネタバレなし。 本作では「清朝皇帝・乾隆帝…

WWW関連雑感

読む・考える・書く 中国で本屋を覗いてみたよ http://d.hatena.ne.jp/Vergil2010/20121202/1354450080 日本語のウェブログ記事。これについてすごく非本質的な話をします。 上の記事自体を読んで思ったのは「まあそんなこともあるんだろうなあ」くらいで、…

神秘の法(マンガ映画)

近未来、世界征服を企む中国ふう架空国家ゴドムの野望に対し神秘の法で立ち向う幸福の科学ふう架空宗教結社ヘルメス・ウィングスの活躍を描くマンガ映画。製作:幸福の科学出版、配給:日活。 まあこのテの映画についてつまんなかったところを挙げるのは野暮…

時事ネタ(2005年)

むかしWWW某所のコメント欄にした書き込みの再利用。ちょっとだけ文章いじってあります。 2005年に中国で「大規模な反日暴動」が起きたと報じられたことがあります。確か日本での扶桑社歴史教科書採用へ向けた圧力と日本の安保理常任理事国入り運動が「同時…

『文化大革命十年史』上中下(厳家祺・高皋/岩波現代文庫)(追記あり)

本文 2010-07-00 現代中国の歴史家・厳さんと高さんが文化大革命の十年間の歴史を詳述する本。 間違いなく面白い本なのだが何かしら奇妙な感触が抜けない。どう奇妙と言ってあまり20世紀末に書かれた歴史書に見えない。箇条書するとこう。 (1)豊富で色彩豊か…

『万葉秀歌』上下巻(斉藤茂吉/岩波新書)

歌人・斉藤茂吉が万葉集中の秀歌を集め解説を付したもの。 以下は本書の紹介というよりは自分の随感です。 誰も知っています。近藤芳美の歌です。 果てしなき彼方に向ひて手旗うつ万葉集をうち止まぬかも 兵が手旗信号の独習で万葉集を打っています。近藤は…

『イルジメ』(TVドラマ)

ネタバレ度:2/4(多少あり) 明清交代期の朝鮮を舞台に、盗みを働いた後に一枝の梅の絵を残してゆく謎の義賊「一枝梅(イルジメ)」の活躍を描く韓国古装ドラマ。イルジメものというのは複数あるので「イ・ジュンギ(李準基)主演のイルジメ」とおぼえてお…

『剣難女難』(吉川英治/講談社)

読んで思ったんですが今こそこれを中国でリメイクすべきではないか。 宋代中国。江南武林こぞっての大武術会が開かれようとする。 十年の修行を終えて故郷に錦を飾ろうとする高手・秦一郎。その弟・秦九郎は心やさしい美青年で、筋は悪くないが武功はまだま…

対話篇

キンキナートゥス:ヨーハンネースよ、どうしたというのだ。いつもはバラ色の君の頬が、今日は青白く、いつもは太陽を見ている君の目が、今日は大地に向っているじゃないか。 ヨーハンネース:ああ、わが友キンキナートゥスよ、ぼくは考えているのだよ。 キ…

『政治家の文章』(武田泰淳/岩波新書)

昭和戦前戦中史てのは日中関係史なのでタグはこれでいいのです(てきとう) 日本の作家・武田泰淳が8章をもって7人の政治家の文章について語る本。傑作。 目次を見ただけではわからないようになっているので一応紹介しとくと対象人物はこう。 1:宇垣一成 …

『チュモン』(TVドラマ)

ネタバレ度:1/4(原則ネタバレなし) 高句麗建国の英雄・チュモンの生涯を描く韓国古装ドラマ。本国ではすごく受けたらしい。日本でも複数の友人が大いにホメているので自分も見始め、そして見始めたあたりでパソコンテレビGyaoで無料視聴が可能になったこ…

『大秦帝国』(TVドラマ)

ネタバレ度:1/4(原則ネタバレなし) うちゃ師兄(id:uchya_x)とManbo師兄にトラックバックというものを送るにはどうすればいいんじゃー。 秦国中興の祖・孝公とそのブレーン商鞅にスポットを当てた中国古装ドラマ。全5話(時間的には9時間程度=実質10話…

『三国演義』(TVドラマ)

ネタバレ度:2/4(多少あり) 中国の古典・三国演義をもとに中国中央中央電視台が'94年から放映したTVドラマ。 さて北方水滸伝というのは水滸伝を徹底して水滸伝ぽくなくした一本でありましたが、対して三国志を微妙に水滸伝ぽくした一本が世の中にはあるの…

『水滸伝』1〜19巻(北方謙三/集英社)

中国の古典・水滸伝を現代日本の作家・北方謙三が大胆に改変した長編小説。以下はWWW某所にした書き込みに大幅加筆したもの。 一定程度の「ねたばれ」を含みます。真に致命的なものはないはずですが、ここらへんの考え方には個人差があるので、比較的ねたば…

『中国の民族問題』(加々美光行/岩波現代文庫)

中国の民族問題に関する入門書。主な題材はチベットおよびウイグル。 まずことわっておきますが、この本についてまじめな話を読みたい方にとっては、秀逸な紹介がウェブ上にいくらもあります。http://pub.ne.jp/Sightsong/?entry_id=1814859 まず最初はこち…

『日中戦争と汪兆銘』(小林英夫/吉川弘文館)

日中戦争と汪兆銘について選書というパッケージングの枠内で手際よくまとめた入門書。WWW某所で感想を見て面白そうだったので自分も読んでみました。以下はそこのコメント欄にした書き込みの再利用。ちょっとだけ文章いじってあります。 『日中戦争と汪兆銘…